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かかりつけ医が伝える、あの病気、この症状

ドライアイ

医師画像
花田眼科
理事長・院長
佐藤 出
1997年弘前大学医学部卒業。北海道大学医学部眼科講座入局。北大病院など勤務を経て、2018年花田眼科副院長、19年3月より現職。日本眼科学会眼科専門医ほか

さまざまな要因で涙腺の機能が衰えて眼が乾く疾患。
中高年から若い人まで誰でもかかる病気

加齢による涙腺の機能の衰えが半数
ライフスタイルや環境要因が原因にも

 ドライアイとは、眼の表面を覆い、眼を保護する役割を果たしている涙が、何らかの原因で分泌が減ったり(量的異常)、不安定になって乾きやすくなる(質的異常)などの結果で起こり得る病気です。
 ドライアイの症状としては、乾燥のほかに、「ゴロゴロする」「ショボショボする」「眼を開けにくい」などさまざまです。また、日中よりも夜から朝方にかけて症状が強くなる方が多いことも特徴です。
 ドライアイ患者の半数近くは中高年の方です。その理由としては、年齢を重ねるにつれて涙を作る組織(涙腺)の機能が衰えることにより、ドライアイになってしまうためと考えられています。ただ、最近は年齢とは関係なく、若い患者さんも増えています。その原因の一端としては、長時間パソコンやスマートフォンの画面を見続けることが挙げられています。このほかにも、環境要因も原因となり得ます。冬は乾燥しているのでドライアイが強くなりやすいですし、一方で夏はエアコンや扇風機などが乾燥の原因にもなり得ますので、その場合は調整が必要となります。さらに、コンタクトレンズを使う方は、コンタクトレンズに水分を持っていかれることにより乾燥しやすくなります。また、過去にレーシック手術をされている方はドライアイになりやすいともいわれており、その際は手術した病院で相談された方が良いと思われます。
 眼科領域以外にも、内科疾患の合併症でドライアイが出るものもあります。特に中高年女性に多く見られる自己免疫疾患のシェーグレン症候群では、眼のほかに口も乾くなど特徴的な症状があります。既に診断がついている方は内科治療の上でドライアイも治療していくことが望ましいです。そのほか薬の副作用でドライアイが出現する場合もあります。特に向精神薬や抗がん剤などはドライアイの副作用が出ることがありますので、該当する場合は主治医の先生にご相談ください。

「アイフレイル」チェックリストで眼の症状を確認してみては

 ドライアイの治療は、目薬が主体です。人工涙液やヒアルロン酸のほか、質的異常の場合は質の改善が見込まれる目薬を使用します。ただ、目薬だけでは改善しないドライアイ患者さんに関しては、液体コラーゲンを使ったり、固体のプラグを用いる治療などもありますので、重症なドライアイの方は主治医に相談しても良いと思います。
 以上のように、ドライアイは原因もさまざまで、どのような方でもかかることがある可能性があります。日本のドライアイ患者数は推計2000万人以上ともいわれており、決して珍しい病気ではありません。
 日本眼科啓発会議によって提言された「アイフレイル」が最近話題となっています。「加齢にともなって眼が衰えてきた上に、さまざまな外的ストレスが加わることによって目の機能が低下した状態、またそのリスクが高い状態」のことを言い、アイフレイルのチェックリストに該当する方はドライアイの可能性もあるかもしれません。症状のある方は一度眼科受診をお勧めいたします。

□アイフレイルチェックリスト
アイフレイルチェックリスト
チェックが2つ以上の人はアイフレイルかもしれません。

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