ぶらんとマガジン社
ホームドクター

北海道、札幌市、旭川市、滝川市、苫小牧市、岩見沢市、函館市の病院情報
あなたの街のお医者さん検索、病院検索ガイド

かかりつけ医が伝える、あの病気、この症状

大腸ポリープ

医師画像
札幌北円山内科・内視鏡クリニック
院長
山本 文泰
1996年旭川医科大学卒業。2004年北海道大学医学部大学院卒業。道内基幹病院勤務を経て、19年10月1日開院。日本消化器内視鏡学会専門医。日本内科学会総合内科専門医ほか。医学博士

ポリープには大腸がんに移行する可能性のあるものも。ポリープの早期発見とがん予防のためにも定期的な便潜血検査と大腸カメラの受診を

大腸がんの80%以上が腺腫性ポリープから移行。早期発見・治療が重要

 大腸ポリープとは、大腸の粘膜層の一部が隆起してできたもので、過形成性ポリープや腺腫性ポリープなどがあります。このうち、大腸がん検診として行われている便潜血検査で陽性の方が、大腸内視鏡検査(大腸カメラ)を行った場合に見つかるほとんどが腺腫性ポリープで、その可能性は50%といわれています。そして、この腺腫性ポリープは将来がんに移行する可能性の高いポリープで、大腸がんの80%以上は腺腫性ポリープからがんになるといわれています。大腸カメラでポリープを観察して、どのタイプのポリープなのか見極め、腺腫性ポリープの場合には適切に切除することが望ましく、ポリープを切除することで、がんの元を断つことができ、がんの予防にもつながります。
 ただし、ポリープができているからといって特に症状はありません。サイズが大きければ出血のリスクが高くなったり、肛門に近い直腸やS状結腸にできたポリープであれば血便などの症状も出やすいかもしれませんが、腸の奥の方であれば、病変ががんであっても無症状であることが多く、そのためにも定期的に便潜血検査や大腸カメラを受けることが重要であると言えます。
 しかし、腺腫性ポリープがあっても便潜血検査で陽性になる確率は20~40%しかないといわれています。逆に、便潜血検査で陰性の場合でも、大腸カメラを行うとポリープが見つかる可能性が低くはないため、確実にポリープを見逃さず、がんの予防につなげるためには、便潜血検査とともに大腸カメラを受けることをお勧めします。

便潜血陽性、便秘や下痢、排便時出血などが続くなら一度大腸カメラを

 ポリープのできる原因はよく分かっていませんが、大腸がん同様に食事などの生活習慣や、特に大腸がんは遺伝性が強いといわれているため、家族歴のある方はもちろん、リスクが高くなるといわれる40歳を超えたら、一度は大腸カメラを受けた方が良いでしょう。このほかにも、「便潜血検査で陽性反応が出た方」「貧血を指摘された方」「最近体重が減ってきたという方」「便秘・下痢・便が細いという方」「排便時に出血があり、便に血が混じっているという方」「腹痛があり、おなかが張るという方」「過去に大腸ポリープが見つかったことのある方」「大腸カメラを受けたことがないという方」にはぜひ大腸カメラをお勧めします。
 大腸カメラに対して、患者さんの中には過去のつらかったという経験や、一般的イメージとして“痛い検査”と抵抗感を持っている方も少なくありません。しかし最近では、検査前の処置として大腸内をきれいにするために飲む下剤もいろいろと種類が増え、以前は2ℓ飲まなければならなかった下剤も半分くらいで済むものなど、かなり飲みやすくなっています。また、カメラも細くて柔らかい機種が開発されたり、検査の際に痛みが出ないよう、当院では腸に空気を入れず、少量の水を入れながらカメラを挿入したり、検査後におなかが張って苦しいということがないよう生体吸収性に優れている炭酸ガスを使用するなどの工夫もしています。ただ、痛みの感じ方には個人差もあるため、ご希望の方には、鎮静剤を使って眠っているような状態のまま検査を受けることもでき、ポリープが見つかった場合は、その場で切除することも可能です。
 ちなみに、当院での検査時間は平均20分くらい、長くても30分くらいで済みます。検査を受けられた患者さんからは「思っていたより全然苦しくなかった」といったお声を多数いただいています。いずれにしても、大腸がんに移行することもあるポリープの早期発見と、がん予防のためにも便潜血検査と大腸カメラを定期的に受けることの大切さを知っていただければと思います。

過去の医療コラム