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かかりつけ医が伝える、あの病気、この症状

白内障

医師画像
新井眼科クリニック
院長
新井 悠介
2010年久留米大学医学部卒業。自治医科大学眼科学講座入局。同助教、講師、准教授を経て、24年4月より現職。日本眼科学会専門医。眼科PDT講習会受講終了認定医ほか。医学博士

白内障手術は、短時間で低侵襲の日帰り可能な安全な手術の一つ。視力の低下など、見え方が今までと違うと感じたら早めに眼科の受診を

視力低下、かすみ、まぶしさを感じたら若くても一度は眼科に相談を

 目の中には、水晶体と呼ばれる透明なピントを合わせる役割を担っているレンズがあります。この水晶体が加齢とともに混濁(こんだく)してきてしまい、それによって視力が低下してしまうのが白内障です。
 症状としては、視力低下のほかに、光がまぶしく感じたり、物がかすんで見えたり、近視や乱視が強くなるなど、いろいろな症状を呈してきます。
 基本的には加齢にともなって発症する病気ですが、糖尿病やアトピー性皮膚炎のある方、ステロイドの内服薬など治療の副作用によって、若くても白内障を発症する方はいらっしゃいます。これらの症状があれば一度眼科を受診することをお勧めします。
 治療は、基本的に手術となります。点眼薬で進行を緩やかに遅らせることもできますが、始まってしまった水晶体の混濁がなくなるわけではありません。視力検査で視力が低下していればもちろんですが、ある程度の視力があっても、「かすみ」や「まぶしさ」といった症状があり、生活に支障を来すようであれば手術を考えることが大切です。

ライフスタイルや目の状態に合わせ、眼内レンズの選択肢も増えている

 手術は、超音波で混濁した水晶体を砕いて吸い取り、その後に人工の眼内レンズを入れて終了です。近年では、白内障手術装置も発展し、局所麻酔による小切開での手術で、短時間で済む日帰り手術が一般的になっています。最近では両目同時に手術を行う施設もあり、当院でも遠方から通院される患者さんなど、事情によっては同時に行うこともあります。しかし、安全性を重視し、基本的には片目ずつ行っています。
 眼内レンズは、保険適用の単焦点レンズをはじめ、遠くから近くまでピントが合う多焦点レンズ、最近では多焦点レンズのデメリットだったハロー・グレアという夜間のライトのまぶしさを軽減できるとともに、見える範囲が単焦点よりも広い、焦点深度拡張型レンズなど、選択肢も増えてきています。単焦点レンズ以外は選定療養のため費用が高くなりますが、「単焦点レンズでは老眼鏡が必要になるのでわずらわしい」など、ご自身のライフスタイルや目の状態に合わせて選ばれると良いでしょう。
 白内障手術は眼科では一番多く行われている手術で、合併症も少なく、安全な手術の一つと言えます。見え方には個人差があり、また白内障は少しずつ進行するため、その見え方に慣れてしまい、眼科受診が遅くなる場合や、眼の手術を行うことで、何となく恐怖心から手術を先延ばしにする方がおられます。しかし、ある一定のレベルを超えると急な視力低下や見え方が悪くなり、受診時にはかなり進行している場合もあります。こうなってからの手術は、時間がかかり、患者さん自身の負担や術後の合併症のリスクなどが多くなってしまいます。少しでも、異変を感じたら眼科を受診して、早期発見、早期治療につなげていただきたいと思います。多くの患者さんが「これならもっと早く手術すればよかった」「明るくなってびっくりした」と喜ばれます。
 白内障は、高齢化社会を背景に増加傾向にあります。施設によっては白内障手術を受けるまでに3カ月待ち、半年待ちということもあるようで、患者さんの中には「免許の更新に間に合わない」など、お困りの方も少なくないようです。当院では、週3回の手術日を設け、4週間程度以内には手術が受けられるよう努めています。また、白内障が進行すると、水晶体の膨張や、水晶体の位置がずれて眼圧が上昇し、緑内障発作を生じるなど、急ぎでの手術が必要な場合もありますので、お困りの事がありましたら、お気軽にご相談ください。

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