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医療脱毛

- 平岡皮膚科スキンケアクリニック
院長
高橋 宏征氏 - 2010年札幌医科大学卒業。同大皮膚科学教室入局。北海道医療センターなどでの勤務を経て、17年11月に開院。日本皮膚科学会認定皮膚科専門医。日本皮膚免疫アレルギー学会、日本美容皮膚科学会など所属
照射されたレーザー光をメラニン色素が吸収。
毛根が破壊されることで脱毛効果が得られる
医療脱毛は医療行為として
医師が行う脱毛のこと
ひと口に「脱毛」と言いますが、「医療脱毛」と「美容脱毛」の2つに分けられます。このうち「医療脱毛」とは、医師法(第17条)に則り、医療機関において医師などの医療従事者が医療行為として行うものです。医療レーザーを照射して毛根を破壊するため、永久脱毛が可能です。
一方の「美容脱毛」はエステサロンなどで行われる脱毛のことで、毛根にダメージを与えることを目的に光を当てる方法です。そのため、一時的に毛を減らすための「減毛」あるいは「除毛」と言われます。
医療脱毛は、レーザー機器が照射した光エネルギーによって毛根の組織が破壊され、脱毛効果が得られる仕組みです。毛根はメラニン色素を多く含んでいるため、メラニン色素が吸収しやすいレーザー光を照射することで、効率的な効果が得られます。医療機関によって用いられるレーザー機器は異なり、一般的にはアレキサンドライトレーザー、ダイオードレーザー、ヤグレーザーの3つの種類があります。このうち、当院ではアレキサンドライトという宝石を使用したアレキサンドライトレーザーを用いて医療脱毛を行っています。
アレキサンドライトレーザーは世界で最も多く使われているレーザーで、日本人の肌に合うことでも知られ、最も早く厚生労働省に認可されています。波長が長く、メラニン色素に反応しやすいのが特徴です。また当院で使用している機器は、治療時に冷却ガスを発射して肌を保護する仕組みになっています。痛みの感じ方は患者さんによってそれぞれですが、他の機器よりも痛みは感じないといわれています。
一度の治療時間は、脱毛する部位の毛の太さや密度、範囲などによって異なります。両脇の場合は5分程度、膝下の場合は20~30分程度が標準的です。また治療回数は、治療後の状態によって個人差があります。1~2回で施術を終える方もいれば、10回などに及ぶ方もいます。当院の患者さんでは、4~6回で満足される方が多いと感じています。
平均的なケースでは1度治療した後、周期に合わせて1~2カ月後に毛が生えてくるので再び治療を行います。これを繰り返しますが、治療の度に毛根の組織が弱体化されるため、徐々に毛の生える速度が遅くなっていくのが通常です。
介護脱毛など美容目的以外にも
脱毛のニーズは高まっている
脱毛と言うと、かつては女性が行うものでしたが、20~30歳代の男性が来院されるケースも増え、当院では医療脱毛の割合は男性が3割程度を占めています。希望される部位は9割が口周りのひげで、残りの1割が膝下などそのほかの部位です。
また、介護脱毛を希望する50~60歳代の女性の方も増えています。介護される立場になった時のことを考え、自分自身の体を清潔に保てる、介護者への負担が軽くなるといったメリットがあります。
このように美容目的以外にも脱毛に対するニーズは高く、年齢や性別にかかわらず脱毛は広く受け入れられるようになっています。その分、皮膚科クリニックやエステ以外にも、脱毛を専門的に行う医療機関として「脱毛クリニック」が数多く開設されるようになりました。そのため、医療機関や医師を選ぶ際には、慎重に検討することをお勧めします。皮膚にレーザー光を当てるため、肌トラブルが起きることもあります。そのため、医師は皮膚科の専門医か、肌トラブルが起きた際の対処法はどうなっているのかなどについて、事前に確認することが重要です。
当院では、もちろん皮膚科専門医が診療を行い、肌の状態をチェック。患者さんの要望や、毛根の状態などに合わせて照射レベルなどの調整も行いますので、お気軽にご相談ください。