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睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome=SAS)

医師画像
永山内科・呼吸器内科
クリニック
院長
藤内 智
旭川医科大学卒業。旭川医科大学第一内科、米国国立衛生研究所、旭川医療センター勤務。2016年永山内科・呼吸器内科クリニック院長就任

夜中に何度も目が覚める、何度もトイレに起きる、日中の強い眠気や集中力の低下、体の疲れやすさを感じたらSASの疑いも。一度、かかりつけ医や専門医に相談を

成人男性の20~30%、成人女性の
10~15%と、比較的ありふれた病

 睡眠時無呼吸症候群(以下、SAS)は、いびきの問題や熟睡できないなどの睡眠の問題だけでなく、全身のさまざまな病気とも関わる病気です。
 SASは主に2つのタイプに分けられます。いびきをかくタイプの「閉塞性SAS」と、脳や神経の病気により呼吸の筋肉をうまく使うことができない方に起こる「中枢性SAS」です。ただし、SAS全体の約9割は「閉塞性SAS」であるため、今回は「閉塞性SAS」について解説します。
 閉塞性SASを持っている日本人の患者は、概算で成人男性の20~30%、成人女性の10~15%といわれ、比較的一般的な病気です。発症の特徴として、女性より男性に多く、肥満がリスク因子として挙げられます。また加齢にともなう呼吸機能の低下をはじめ、顎の形状、飲酒や喫煙の習慣がある方、鼻の通りが悪い方もいびきをかきやすい傾向があります。

早期発見と早期治療介入、継続治療で
合併症の発症を防ぐことが重要

 SASは、入眠によって喉の筋肉が緩むことで起こります。舌根(喉の奥の部分)が空気の通り道に落ち込み、気道が狭くなるため、いびきが発生します。いびき自体は体への影響はありませんが、寝ている間に呼吸が止まると血液中の酸素濃度が低下するため、心臓が酸素不足を補おうとして強く働き、心拍数が増えたり、血圧が高くなったり、無意識のうちに目が覚めたりと、十分な睡眠がとれないことにもつながります。そして無呼吸や低呼吸の状態を慢性的に繰り返すと、血管に負担がかかります。その結果、高血圧や不整脈を引き起こすほか、心筋梗塞や脳梗塞の発症リスクが、通常の方の5~10倍に高まるとされています。これらのSASにともなう合併症の発症を防ぐためにも、SASの早期発見と早期の治療介入が重要になるわけです。
 SASの代表的な症状はいびきです。いびきに加えて、呼吸が止まったあとに大きく息をするような呼吸を何度も繰り返す場合は注意が必要です。これらの症状は本人が気付くことは難しく、ご家族が気付いてあげることが大切です。また自覚症状としては、無呼吸によって睡眠を中断されるため、夜中に何度も目覚めたり、トイレに起きたりするほか、熟睡できないことにより日中の強い眠気や集中力の低下、体の疲れやすさを感じるなどが挙げられます。中高年男性では、仕事による疲れだと思い込んでいる方も多いようですが、実はその背後にSASが隠れていることがあるのです。
 診断は、本人への問診と、いびきや無呼吸に関してご家族からもお話を伺い、SASが疑われる場合には自宅での簡易検査と、必要に応じて精密検査も行いながら確定診断につなげます。検査結果により1時間に10秒以上の無呼吸と低呼吸を合わせた回数が5回以上あればSASと診断されます。その回数が5~15回では軽症、15~30回で中等症、30回以上で重症と判断します。
 治療は、第一に生活習慣の改善です。肥満の方は減量、大量に飲酒をされる方は減酒や禁酒を勧めます。また、いびきが軽くなる睡眠時の姿勢といった指導も行います。その上で改善が見られなければ、一般的にシーパップ(CPAP)療法と呼ばれる治療を行います。これは睡眠時に装着する鼻マスクから空気を送り込むことで閉塞した呼吸の通り道を開く方法で、中等症以上の方では第一選択となり、90%以上の方は無呼吸がほとんどなくなります。
 いずれにしても、いびきの原因がSASである場合には、将来的に重篤な病気を合併する恐れがあるため、気になるいびきや呼吸が止まっている様子が見られる場合には、ご家族が早めに気付き、一度医療機関へ相談することをお勧めします。

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