診療室からのメッセージ
慢性腎臓病(CKD)
- さっぽろ南大橋クリニック
院長
木村 幸滋氏 - 2010年札幌医科大学医学部卒業。道内主要病院勤務、天使病院循環器内科・人工透析内科科長を経て、22年11月開院。日本循環器学会、日本腎臓学会、日本透析医学会各専門医ほか。医学博士
初期にはほとんどが無症状。症状を自覚したときには手遅れの場合も。早期発見・早期治療のためにも定期的に健康診断の受診を
加齢にともない低下する腎機能
日本人の約2000万人がCKD
慢性腎臓病とは、尿検査、画像診断、血液検査、病理などで腎障害の存在が明らかで、尿蛋白が0・15/gCr以上、あるいはeGFR値が60㎜/min以下のいずれか、または両方が3カ月以上続いている状態と定義されています。
また慢性腎臓病とは、さまざまな腎臓疾患が進行した結果、慢性的に腎機能が低下している病態として、以前は「慢性腎不全」という病名が付いていましたが、腎機能障害をより理解しやすく、より早期発見につなげるため、2002年に米国腎臓財団から「慢性腎臓病(Chronic Kidney Disease=CKD)」という概念が提唱されました。
症状は人それぞれですが、主に体のむくみ、体がだるい、といった症状を訴える方もいらっしゃいますが、初期ではほとんどが無症状です。また、腎臓は生体恒常性の維持に関わる各種ホルモンを産生する役割があり、ホルモンの影響によっては貧血になったり、骨が弱くなったり(骨粗しょう症)ということも起こり得ます。そのため、患者さんの多くは、健康診断や、他の病気で医療機関を受診して検査をした結果、腎機能の低下を指摘され、専門の医療機関でCKDと診断される方がほとんどです。中には、体のむくみなどを訴えて医療機関を受診される方もいますが、その時にはかなり病態が進行していることが多いと言えます。
腎臓の機能は、加齢にともなって低下するため、高齢化社会を背景に自然とその数は増えていて、現在、日本人のCKD患者数は2000万人くらいいるといわれています。以前は、糖尿病を原因とする糖尿病性腎症からCKDに進行する方が多かったのですが、近年は、加齢に加えて、高血圧を原因とする腎硬化症からCKDに進行する患者さんの割合が増えています。
治療は生活習慣改善による
進行抑制。早期発見こそが重要
基本的にCKDを治す方法はありません。腎不全の約7割は高血圧、糖尿病が原因です。血糖値・HbA1cを適切に管理する、血圧を130/80mmHg以下に保つ、塩分制限(1日6g未満)、禁煙など生活習慣を改善することが重要です。病態の進行を抑制する薬が出てきてはいますが、劇的に腎機能が良くなるという治療はないため、最終的には透析治療か腎移植しかありません。
腎臓は再生する臓器ではないため、基本的に悪くなってしまえば元には戻りません。ただし、一部のCKDの原因は適切な早期治療により、CKDが改善する可能性があります。しかしながら、腎臓の病気は初期にはほとんど症状が現れることもなく、かなり進行してからでなければ症状を自覚することは難しいのが特徴でもあり、症状が現れた時には遅いとも言えます。その意味でも、腎臓の病気は症状がないうちに見つけることが重要となるため、大切なことは健康診断を毎年受診し、CKDを指摘された際には、必ず専門の医療機関で精密検査を受けてください。そして、少しでも気になる症状があれば、一度きちんと医療機関を受診して調べてもらうことが大切です。
前述しましたが、CKDの原因の大半は高血圧、糖尿病といった生活習慣病です。日ごろから高血圧、高コレステロール、尿酸値、血糖値、たばこやアルコールの摂取量など、生活習慣を整えることで腎機能低下を少しでも防ぎましょう。

