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風邪(風邪症候群)

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あさひ町南大通クリニック
医師
宇土 有巣
琉球大学卒業。沖縄県立中部病院、手稲渓仁会病院を経て2018年より現職。家庭医専門医・指導医。産業医。認知症サポート医

妊婦や高齢者、肺疾患などの持病によっては重症化の可能性も。子どもの場合はぐったりしている、水分が取れていない場合は早めの受診を

1週間以内で良くなるのが風邪
症状が長引く場合は早めの受診を

 風邪(かぜ)とは、正式には「風邪症候群」と言って、基本的にはウイルスによる上気道(鼻や喉)に起こる感染症です。原因となるウイルスは200種類以上といわれ、一番多いのがライノウイルスで、このほかにもインフルエンザウイルスや、最近ではコロナウイルスなどもありますが、症状から原因となるウイルスを推定するのは難しいのが風邪症候群の特徴の一つと言えます。
 風邪は、特殊なウイルスの感染である場合や、持病などをお持ちの方を除けば、基本的には1週間以内くらいで症状が良くなっていく方がほとんどです。医療機関で薬が処方されることはありますが、薬の効果は、症状がある期間を短くするためのものではなく、あくまでも症状を楽にするためのものです。
 基本的にウイルスに感染する原因は、咳やくしゃみなどの飛沫や、触ったところに着いていたウイルスが手から鼻や口を触ることにより上気道に付着し、体内に侵入することで感染します。そのため、予防対策としてはマスクの着用、こまめな手洗いが有効です。また、特殊なものとしてインフルエンザウイルスやコロナウイルスはワクチンがありますので、予防接種を受けることが重症化を防ぐための方法の一つと言えます。
 医療機関への受診は、普段健康な状態の方で、ご自身がつらくない程度の症状であれば、一般的には無理に受診する必要はありません。ただし、妊婦さんや高齢者、特に肺の持病を持っている方、あるいはリウマチ・膠原病で免疫力が下がっている方は重症化する可能性があるため、風邪であっても医療機関への受診をお勧めします。このほか、小さなお子さんが熱を出すと、親御さんは大変心配されます。注意すべき点としては、見るからにぐったりしている、普段の半分も水分が取れていない、おしっこの量が減っている場合は早めに受診することをお勧めします。ただ、熱はあっても元気に遊んでいたり、水分もよく飲んでいるようであれば、急いで受診する必要はありません。また、風邪は基本的に上気道の感染症のため、鼻や喉などに症状が出るはずなのですが、症状が発熱だけという方の中に、実は腎盂腎炎や胆のう炎といった別の病気が隠れていることもあるため、発熱だけが続くという場合も注意が必要です。
 治療は、基本的には症状を和らげる対症療法になります。重症化のリスクがある方に関しては、例えばインフルエンザであればタミフル、コロナであればゾコーバ、パキロビッドなどの治療薬の使用について患者さんと相談させていただいています。また薬に関して、よく患者さんから「抗生物質は必要ありませんか?」とご質問いただくことが多いのですが、風邪に抗生物質は無効であるばかりでなく、さまざまな副作用や耐性菌を作り出す可能性があるので基本的に風邪に抗生物質は使われません。小さなお子さんの場合、抗生物質の種類によっては低血糖のリスクとなることがあるため注意が必要です。

複数の感染症の同時流行が増加
身近な流行状況を知ることも大切

 最後に、感染症に関する最近の傾向として、インフルエンザやコロナ、マイコプラズマ、溶連菌など、いろいろな感染症が同時に流行することが増えてきています。風邪のような症状を引き起こす感染症によっては、診断のための検査や、治療のために抗生物質が必要となる場合もあるので、流行の状況を知っておくことは大切です。流行する感染症は同じ地域でも保育園や学校など、コミュニティーによって異なることも少なくありません。各地域の感染症情報は、北海道感染症情報センターのホームページなどでも公開されています。特に小さなお子さんをお持ちの方は、身近な感染の流行状況を普段から知っておくことも予防対策の一つとしてお役に立つと思います。

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