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男性更年期障害

医師画像
三樹会泌尿器科病院
理事長
佐藤 嘉一
1986年札幌医科大学卒業。97年アルバート・アインシュタイン大学留学。日本泌尿器科学会専門医・指導医。日本内視鏡外科学会技術認定医など。札幌医科大学臨床教授

全ての中高齢男性に起こり得る変化。ホルモン補充療法やPDE5阻害薬の併用ほか、生活習慣などの改善でQOLと健康の改善・維持が可能

「抑うつ症状」「気力低下」
「易疲労感」が3大兆候

 更年期障害は、女性だけでなく男性にもあります。女性は閉経という大きなイベントによって女性ホルモン(エストロゲン)が急激に低下するためにさまざまな症状が顕著に現れますが、男性の場合でも女性ほど劇的ではありませんが男性ホルモン(テストステロン)が年齢とともに徐々に低下することでいろいろな症状が現れることがあります。さらに、更年期と呼ばれる50歳前後の時期は、加齢による身体のさまざまな体の働きの変化や、日々の仕事や家庭でのストレスなども多い時期で、これらの条件が相まって心や体にいろいろな症状が現れるのが男性更年期障害と言われる症状と言えます。
 主な症状は、3大兆候として「抑うつ症状」「気力低下」「易疲労感(疲れやすい状態)」が頻度の高い症状と思われます。このほかにも精神症状として集中力や記憶力の低下、身体症状としては性欲や勃起力の低下、体のほてりや発汗、手足の冷えやしびれ、肩や首のこりなどさまざまです。
 そして重要なことは、中高齢男性のそういった症状に対して、泌尿器科医としてできるアプローチで症状を治す、もしくは少しでも症状の改善を目指していくということです。ただし、患者さんの中には未診断のうつ病、糖尿病などの生活習慣病など、さまざまな基礎疾患が影響している方もいます。診療では、これら併存疾患のスクリーニングをはじめ、症状に基づくより広い原因の可能性を念頭に置いて鑑別診断を進め、他に明確な原因疾患がある場合には専門医への紹介を行います。

泌尿器科医ができるアプローチで
中高齢男性の症状や悩みを改善

 男性更年期障害のうち、男性ホルモンの低下にともなう症状として限定したものを「LOH症候群」、いわゆる加齢性の性腺機能低下にともなう症候群と呼んでいます。そして男性ホルモンの低下がみられる患者さんには、男性ホルモンのバランスの崩れを整える治療方法として男性ホルモン補充療法を行っており、多くの患者さんで症状の改善が認められています。また、先に述べたように男性更年期障害は男性ホルモンの低下以外の原因で症状が現れる場合もありますが、当病院では男性ホルモンが正常な方にも男性ホルモン補充療法を行っており、当病院のデータでは男性ホルモンが正常な方ほど高い治療効果が得られています。
 さらに、男性更年期障害を訴える患者さんでは、排尿困難や夜間頻尿などの下部尿路症状、あるいは性機能障害(ED)を有している頻度が高いため、これらの症状の改善に対して保険適用のあるPDE5阻害薬を使うことも多いです。効果としては、夜間頻尿の改善とともに睡眠の質も良くなったり、特に自覚しやすい症状として早朝勃起の改善が挙げられるほか、血流促進作用などによって易疲労感、冷えや肩こりの改善も期待できます。
 このほかにも体のほてりなどには漢方が有効なほか、それぞれの症状に応じてサプリメントや抗うつ剤などを処方することもあります。また、運動や食事、睡眠などの生活習慣の改善も重要なほか、未診断の生活習慣病の発見・治療により、男性更年期障害による症状の改善や、予防につながることも期待されます。
 当病院では、性機能(ED)・男性更年期外来に「メンズピークス Men's Peaks」という名称を付けています。中高齢になってからの人生に「さらなるピークを!」、そして「人生にワクワクを!」という願いを込めています。受診された患者さんのいろいろな症状や悩みが改善し、元気に仕事や生活を送っていただけるよう、私たちができるサポートを提供していきたいと思っています。「抑うつ症状」「気力低下」「易疲労感」など、気になる症状やお悩みの事があれば気軽にご相談ください。

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