ぶらんとマガジン社

病院名/地域名/診療科目など
知りたいことを入力してみてください

ホームドクター

北海道、札幌市、旭川市、滝川市、苫小牧市、岩見沢市、函館市の病院情報
あなたの街のお医者さん検索、病院検索ガイド

診療室からのメッセージ

変形性膝関節症

医師画像
五輪橋整形外科病院
診療部長
小路 弘晃
札幌医科大学医学部卒業。道内主要病院勤務を経て、2024年4月より現職。日本専門医機構認定整形外科門医。日本スポーツ協会スポーツドクター。日本整形外科学会認定スポーツ医。日本人工関節学会認定医ほか

運動療法や保存治療で約9割が軽快。約1割は人工関節などの手術が選択肢となるが、手術が困難な患者には「クーリーフ」という新たな治療法も

主な原因は加齢や肥満による膝への
負担。半月板損傷で若くても発症

 変形性膝関節症は、日本人の高齢者の4人に1人が発症しているといわれる有病率の高い疾患の一つです。主な症状は、膝の痛みが最も多く、そのほかには膝の腫れや、膝の曲げ伸ばしがしづらい、膝の関節が引っかかる感じがするというのが初発の症状としてみられることもあります。
 原因はさまざまで、主に加齢や肥満によって膝の関節の軟骨が擦り減ってしまうことで痛みや変性が生じたり、近年では膝の中にあるクッションの役割を果たしている半月板の損傷も要因の一つであることが明らかになりつつあります。半月板は加齢や肥満で少しずつ切れてしまうこともありますが、階段を下りたり、立ち上がったときなどに急に切れてしまうこともあり、若い方にも起こり得る可能性はあると言えます。
 治療は、まず病気の原因の一つともなる肥満の改善で、体重が多めの方には減量が重要となります。あわせて膝を守り、痛みを和らげるためにも重要となる大腿四頭筋(太もも前面にある4つの筋肉)の筋力強化など、生活習慣の指導や運動療法を進めていきます。それでも改善が見られない場合には、抗炎症剤の内服や、貼り薬などの外用剤、ヒアルロン酸製剤などの関節注射といった薬物療法による保存治療を行います。治療効果には個人差がありますが、一般的には患者さんの約9割は保存治療で症状が落ち着いたり、軽快されます。ただし、残りの1割の患者さんで痛みが残ったり、日常生活に支障が出るという方がおり、その場合には手術が選択肢となります。
 手術にはさまざまな方法があります。半月板の損傷だけであれば、半月板を縫い合わせる半月板縫合術を行います。また、膝の変形が強く、痛みが強い患者さんには人工関節の手術をお勧めします。ただし、人工関節は痛みを取り除くうえで最も優れた治療法ですが、人工関節の耐用年数などの問題から比較的若い患者さんや、あるいは強度の高いスポーツをされる患者さんには、膝の関節を温存して、膝の上または下の骨の形を矯正することで膝の痛みや負担を緩和する骨切り術という治療も行っています。特に日本人の変形性膝関節症の患者さんではO脚の方が多く、骨切り術でO脚を矯正することで症状が改善する方は多いです。

保存治療と手術の中間となる痛みに
対する新たな治療の選択肢も登場

 また当病院では、保存治療と手術治療の中間となる、膝の痛みを軽減する新たな方法として、2023年に保険適用となった「クーリーフ」を25年9月に導入しました。膝の痛みを司る神経にラジオ波を当て、その熱によって神経を変性させて痛みを抑えるという治療法です。保存治療で十分な効果が得られないが手術はしたくない、高齢や基礎疾患などの理由から全身麻酔下での手術が困難、仕事が忙しいなど長期入院が難しいという方にとって新たな治療の選択肢として期待されています。このほかにも当病院では、保険診療外ですが、患者さんの血液から抽出した多血小板血漿(PRP)を使った再生医療など、患者さんの症状や希望に応えられるよう、幅広い治療の選択肢を取りそろえています。
 変形性膝関節症は、加齢だけでなく、生活習慣、特に運動習慣も要因と考えられます。日ごろからの適度な運動は体重の増加を防ぎ、筋力の強化にもつながります。膝を痛めた後の無理な運動は良くありませんが、ウオーキングやランニングなど、ご自身のライフスタイルに応じて日常生活に運動を取り入れていただくことは、変形性膝関節症の予防のためにも有効だと思います。当病院では、リハビリテーション部を中心として不定期ですが体操教室を開催しています。膝の痛みはもちろん、少しでも膝に不安を感じていることがあれば、当病院やお近くの整形外科に一度相談してみると良いでしょう。

過去の医療コラム