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尿失禁

医師画像
啓明腎泌尿器科・皮膚科
院長
丸尾 一貴
2014年札幌医科大学卒業。同大附属病院、北海道立子ども総合医療・療育センター、NTT東日本札幌病院、北海道医療センターなどを経て、25年10月14日開院。日本泌尿器科学会専門医ほか

60歳以上女性の2人に1人が経験。年のせいと諦めている女性が多いほか、男性では重篤な病気が原因の場合もあるため一度は泌尿器科に相談を

多くは加齢にともなう骨盤底筋の
緩みが原因。骨盤底筋体操が有効

 尿失禁、いわゆる尿もれは男性に比べて女性に多い症状です。原因は多岐にわたるため、腎臓や膀胱に病気が隠れていないかどうか、一度泌尿器科で診察を受けることが大切です。そして検査を行った上で異常がなければ骨盤底筋の緩みが原因で、おなかに力がかかったときに起こる「腹圧性尿失禁」や、過活動膀胱にともない、急に尿意が出て間に合わずに漏らしてしまう「切迫性尿失禁」ということが考えられます。
 骨盤底筋とは、尾骨・座骨・恥骨をつないだハンモックのような形で、骨盤底の大きな穴を塞ぐように骨盤を支えている筋肉の集合体のことです。この骨盤底筋が緩くなる原因としては、加齢にともなう女性ホルモンの低下によることが明らかになっています。そして最もダメージを受けるのが妊娠・出産で、この経験を契機として尿もれが起こるという方が多いようです。
 骨盤底筋の緩みを原因とする尿もれに対する治療の第一選択は、骨盤底筋体操です。骨盤底筋を鍛えることで尿もれの改善が期待されるということは泌尿器科の教科書にも書かれています。ただ、「毎日骨盤底筋体操をやりましょう」と言っても、ほとんどの方が毎日は行っていなかったり、長続きしない方が多いようです。そこで当院では、患者さんに骨盤底筋トレーニングの方法や解説動画にアクセスできるパンフレットを渡したり、服を着たまま15分座るだけで骨盤底筋を効率的に鍛えることができる、「ビジリス」というトレーニングマシンを2026年3月に導入したりしています。

保険診療では内服と手術も選択肢
自費診療の日帰りレーザー治療も

 骨盤底筋体操で効果が得られない場合は、保険診療として内服治療と手術について検討します。ただし、筋肉は加齢とともに落ちてくるため、筋肉が改善しなければ内服薬を飲み続けなければなりません。そのため患者さんの中にはドロップアウトされる方も非常に多くいらっしゃいます。また、次の手段としてはメッシュなどの医療機器を挿入して骨盤底筋を支える手術があり、高い治療効果が期待できます。しかし、体にメスを入れるという侵襲性が高いことと、入院が必要ということ、さらにメッシュといった異物を体内に入れるために感染の可能性もあり、感染した場合にはメッシュを取り出さなければならないというデメリットを考慮すると、手術を選択するのが難しいケースも数多く経験してきました。そして、これらの理由からほとんどの方が病院での治療を諦めてしまい、市販の内服薬や尿もれパットを使い続けているという方が非常に多いというのが現実でもあるのです。
 そこで当院では、治療を諦めてしまった患者さんの悩みを解決してあげたいという思いで、自費診療にはなりますが、世界的に尿もれ治療の臨床効果が高いことが認められた医療機器「インティマレーザー」を導入しています。レーザー光を膣内や外陰部、尿道に照射し、骨盤底筋を刺激して年齢とともに減少したコラーゲン産生を促進し、骨盤底筋の血流と機能を回復することで尿もれを抑える治療を日帰りで行っています。
 最後に、男性の尿失禁は女性に比べて少ないものの重篤な疾患が原因となっている場合が多く、前立腺がんや膀胱がん、認知症が原因であることもあります。中でも一番多いのは前立腺肥大症で、自分で尿を出したいのに出せない、あるいは尿意と関係なく尿が少しずつ漏れ出てしまうという「溢流性(いつりゅうせい)尿失禁」を起こすのが特徴です。放置すると腎臓に負担がかかって腎不全に陥ってしまい、透析治療が必要になるなど、危険な排尿障害である場合もあるので、年のせいなどと決め付けたり、恥ずかしいからと放置せず、男女共に一度は泌尿器科に相談することをお勧めします。

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