ぶらんとマガジン社

病院名/地域名/診療科目など
知りたいことを入力してみてください

ホームドクター

北海道、札幌市、旭川市、滝川市、苫小牧市、岩見沢市、函館市の病院情報
あなたの街のお医者さん検索、病院検索ガイド

診療室からのメッセージ

花粉症

医師画像
大通り耳鼻咽喉科クリニック
院長
坪松 ちえ子
2001年札幌医科大学医学部卒業。同大耳鼻咽喉科学教室入局。斗南病院、札幌医大附属病院勤務を経て、現在に至る。日本耳鼻咽喉科学会専門医・補聴器相談医ほか。医学博士

日本人の4人に1人が花粉症といわれ、経済にも大きな影響を及ぼしている。治療は医師と相談し、症状の程度やライフスタイルに合わせて選ぶといい

北海道の花粉症は3月から6月
のほか夏から秋にかけても注意

 花粉症は、スギやシラカバなどの植物の花粉が原因で起こるアレルギー性の病気です。鼻水、くしゃみ、鼻づまり、目のかゆみなどが代表的な症状です。日本では約4人に1人が花粉症とされており,個人の健康面だけでなく日本経済にも大きな影響を及ぼしています。労働生産性の低下や、医療費・市販薬費用の増加、通院や治療にかかる時間的損失など推計では花粉症による年間経済的損失は数千億円規模に上るともいわれ、社会全体での対策や啓発活動の重要性が高まっています。
 花粉症は、体が本来無害なはずの花粉を「異物」とみなして過剰に反応することで起こります。花粉が鼻や目の粘膜に付着すると、体内の免疫細胞がヒスタミンなどの物質を放出し、それがさまざまな症状を引き起こします。
 北海道の花粉症には他の地域と異なる特徴があります。まずスギ花粉の飛散がほとんどないため、本州で多いスギ花粉症はあまりみられません。その代わり、ハンノキやシラカバ花粉症が多く、3月から6月にかけて発症します。また、イネ科やヨモギなどの雑草花粉も夏から秋にかけて注意が必要です。シラカバ花粉症の患者の中にはリンゴやモモなど特定の果物で口唇、舌、のどのかゆみや腫れ、しびれなどの症状が現れる口腔アレルギー症候群(OAS)を併発することも少なくありません。最近ではじんましん、おう吐、下痢、呼吸困難など全身症状を引き起こすこともあるため「花粉・食物アレルギー症候群(PFAS)」とも呼ばれています。花粉症の診断は、まず症状や発症時期、家族歴などを詳しく問診します。その後、アレルギー検査(血液検査や皮膚テスト)で、どの花粉に反応しているかを調べます。鼻粘膜の観察や必要に応じてレントゲン撮影や鼻汁検査も行い、総合的に診断します。
 治療は花粉を避けるためにマスクや眼鏡の着用、外出後の洗顔・うがい、室内の換気や掃除を行うのが基本ですが、中心となるのは薬物療法です。主に使われるのは、くしゃみや鼻水を抑える抗ヒスタミン薬、特に鼻づまりを改善する抗ロイコトリエン薬、3大症状全てに効果のある点鼻ステロイド薬、目のかゆみには抗アレルギー点眼薬などがあります。特に症状が出る前から薬を使い始める「初期治療」は重要で、花粉が飛び始める1~2週間前から使い始めてシーズン中続けることで症状の発現を遅くし重症化を防ぐのに効果的です。医師と相談し、自分に合った薬とタイミングで治療を始めることが大切です。
 さらに薬物療法で十分な効果が得られない重症例や副作用のため薬が使いづらい方に対しては外科的治療が必要な場合があります。中でもアルゴンプラズマ凝固療法(APC)は、アルゴンガスを用いてプラズマを発生させ、花粉に反応しやすい鼻の粘膜を凝固・蒸散することで症状を改善します。局所麻酔下で専用の器具を鼻腔内に挿入し、粘膜にプラズマを照射します。手技は短時間で済み、外来で行うことができるので患者への負担も少ないのが特徴です。治療後は一時的にかさぶたができ少量の鼻出血がみられ鼻づまりも悪化しますが、1~2週間で改善し長期間にわたり鼻症状を軽減できます。炭酸ガスレーザーを用いる方法もありますが、APCは粘膜の凝固範囲が浅く術後の疼痛や出血が少なく回復が早い利点があります。しかしこれら外科的治療の効果には個人差があり、再発する場合もあるため十分な説明を受けてから行うと良いでしょう。
 花粉症は適切な診断と治療、そして早めの予防が重要です。北海道ではシラカバ花粉が主な原因ですが、症状の程度やライフスタイルに合った治療法を選ぶことで、快適に過ごすことができます。気になる症状があれば、早めに医療機関を受診し、専門家と相談しましょう。

過去の医療コラム