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咳ぜんそく

医師画像
菊地内科呼吸器科
院長
菊地 英毅
1997年北海道大学医学部卒業。同大第1内科入局。北大病院呼吸器内科講師を経て、2023年4月より現職。日本内科学会総合内科専門医。日本呼吸器学会呼吸器専門医・指導医ほか。医学博士

風邪が治ったはずなのに咳だけが長く続く場合、咳ぜんそくという病気が隠れていることも。我慢せずに早めに医療機関の受診を

長引く咳の原因と
咳ぜんそくの特徴

 咳は、気道に入った異物や痰を排出するための生理的な防御反応です。しかし過剰な咳は、疲労、筋肉痛、肋骨骨折、尿失禁、睡眠障害などを引き起こし、生活の質を大きく低下させます。咳が出始めて1~2週間ほどは、ウイルスによる風邪などの感染症が原因であることが多く、発熱やのどの痛み、色のついた痰をともなう場合は感染症の可能性が高くなります。通常は熱が下がるとともに咳も改善していきますが、3週間以上咳が続く場合は、いわゆる「風邪」による咳ではない可能性が高くなります。マイコプラズマや百日咳など、咳が長引く特殊な感染症のほか、さまざまな呼吸器疾患、鼻やのどの病気、胃食道逆流症、心臓の病気、薬の副作用などが長引く咳の原因となります。中でも、胸部X線検査で異常が見られない場合、咳ぜんそくは最も頻度の高い疾患です。咳ぜんそくは、気道に炎症が持続し、気管支が過敏になって咳や痰が続くことが主な症状です。一般的な気管支ぜんそくの三大症状は咳、喘鳴(ぜんめい)、呼吸困難ですが、咳ぜんそくでは咳だけがみられ、ゼーゼー、ヒューヒューという喘鳴や呼吸困難はほとんどみられません。

咳ぜんそくの治療・予防と
受診の目安

 咳ぜんそくの咳は、夜間や早朝に悪化しやすく、季節の変わり目、寒暖差が大きいところで出やすくなります。冷気、会話や笑い、深呼吸、運動、煙、香料、食事の湯気などで誘発されることがあります。一般的な鎮咳薬では十分な効果が得られないことも少なくありません。痰絡みや気管の違和感もよく見られる症状です。背景には、ウイルス感染後の気道過敏性、アレルギー素因、ダニやハウスダスト、喫煙や受動喫煙などが関与していると考えられています。風邪は治ったが咳だけが続く、特に夜に咳が悪化して寝られない、というのが典型的な経過です。特にアレルギー性鼻炎・花粉症などアレルギーの素因がある方、小児ぜんそくだった方、親子や兄弟など血縁にぜんそくの方がいると可能性が高くなります。咳ぜんそくの方の約半数にアレルギー性鼻炎が合併します。
 診断は、症状の経過や特徴を重視し、胸部X線検査やCTで他疾患を除外したうえで行われます。呼気一酸化窒素(FeNO)検査は、気道のアレルギー性炎症を調べる検査で、FeNOの数値が高ければ、ぜんそくや咳ぜんそくの可能性が高くなり、咳ぜんそくの診断の重要な参考になります。血液検査ではアレルギーに関係する白血球(好酸球)や抗体(IgE)の数値が上昇していたり、喀痰検査では喀痰中に好酸球が多く見られたりします。また、気管支拡張薬(β2刺激薬)の吸入で咳が改善すると咳ぜんそくの可能性が高くなります。
 治療の基本は、吸入ステロイド薬による抗炎症治療です。気道の炎症を抑えることで咳の改善と再発予防が期待でき、必要に応じて気管支拡張薬を併用します。アレルギー性鼻炎や胃食道逆流症が合併している場合は合併症の治療が必要なこともあります。効果が現れるまでに数日から数週間を要することがあり、症状が改善しても自己判断で中止せず、医師の指示に従って継続することが重要です。症状が消失したら治療薬を中止できることが多いですが、再発したら速やかに治療を再開することが大切です。再発を繰り返す場合は最小限の治療を継続します。禁煙や受動喫煙の回避、室内環境の整備、マスクや加湿器などでのどを乾燥させない工夫も症状改善に有効です。
 咳ぜんそくは適切な治療により多くが症状を改善できます。咳が長引く、夜間や早朝の咳で眠れない、冷気や会話で咳が出て止まらない、市販の咳止めで改善しない、といった場合は、我慢せずに早めに医療機関を受診しましょう。

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