働き方改革を進めつつ、大学病院として
高度医療を実践するとともに地域医療に貢献する
医療人の育成、先進医療の開発
地域医療における「最後の砦」
旭川医科大学病院は、国立大学病院として、また特定機能病院として、医療人の育成と供給、先進医療の開発、臨床研究の推進、地域への医療の提供など、地域医療における「最後の砦」としての役割を担ってきた。診療科目を臓器別、系統別へ、通院患者にやさしく分かりやすく表示するなど、道北・道東圏の基幹病院として診療体制のさらなる充実を図っている。
特に救急医療においては、2010年に旭川医科大学救命救急センターをオープンし、外来診療を含めた救急患者を365日24時間体制で受け入れる3次医療圏の救命救急センターとしての役割を担っている。
重篤な患者を24時間体制で集中的に治療を行うICU(集中治療室)10床に加えて、21年1月からはHCU(高度治療室)12床も新設され、そのほかにも救急専用病床16床を有し、救急診療の強化を図っている。また病院内の敷地にヘリポートを有するほか、ドクターカーの本格運用も開始する等、地域の救命救急における役割には今後も大きな期待が寄せられている。
地域がん診療連携拠点病院としての役割も大きい。09年に緩和ケア診療部を創設し、15年には通院で抗がん剤治療を安全かつ快適に受けられる外来化学療法センターを20床に増床した。がん相談支援センターでは、がんに関するさまざまな情報を提供・発信。がん患者や家族の交流・親睦・情報交換の場である、がん患者サロン「ほっとピア」や、子育て中のがん患者や家族の交流の場である「ななかまど」を開催している(現在は不定期開催)。さらに、がんゲノム医療連携病院に指定されており、がんゲノム中核拠点病院と連携し、患者の遺伝子検査によってその後の治療を個別に決めていくプレシジョンメディシンを実践するため、がん遺伝子診療外来を19年に開設した。
特に救急医療においては、2010年に旭川医科大学救命救急センターをオープンし、外来診療を含めた救急患者を365日24時間体制で受け入れる3次医療圏の救命救急センターとしての役割を担っている。
重篤な患者を24時間体制で集中的に治療を行うICU(集中治療室)10床に加えて、21年1月からはHCU(高度治療室)12床も新設され、そのほかにも救急専用病床16床を有し、救急診療の強化を図っている。また病院内の敷地にヘリポートを有するほか、ドクターカーの本格運用も開始する等、地域の救命救急における役割には今後も大きな期待が寄せられている。
地域がん診療連携拠点病院としての役割も大きい。09年に緩和ケア診療部を創設し、15年には通院で抗がん剤治療を安全かつ快適に受けられる外来化学療法センターを20床に増床した。がん相談支援センターでは、がんに関するさまざまな情報を提供・発信。がん患者や家族の交流・親睦・情報交換の場である、がん患者サロン「ほっとピア」や、子育て中のがん患者や家族の交流の場である「ななかまど」を開催している(現在は不定期開催)。さらに、がんゲノム医療連携病院に指定されており、がんゲノム中核拠点病院と連携し、患者の遺伝子検査によってその後の治療を個別に決めていくプレシジョンメディシンを実践するため、がん遺伝子診療外来を19年に開設した。
道東・道北唯一の移植施設
「赤ちゃんにやさしい病院」認定
移植医療は11年以来、9件の生体肝移植を行い、19年10月に同病院での1例目となる生体腎移植を実施。24年2月までに30例の生体腎移植を実施し、いずれも順調に経過している。今後も道東・道北地域唯一の移植施設としての役割を果たしていく。臓器提供については11年1月、17年8月、22年3月に脳死下での提供を行っている。
北海道の地域周産期母子医療センターの認定ほか、WHO・ユニセフの「母乳育児のための10カ条」を実践する体制を整え、05年に「赤ちゃんにやさしい病院」の認定も受けている。NICU(新生児集中治療室)およびGCU(継続保育室)では、最先端の設備と医療技術を備え、超未熟児をはじめ難治性疾患、外科疾患などあらゆる新生児疾患に対応している。
北海道の地域周産期母子医療センターの認定ほか、WHO・ユニセフの「母乳育児のための10カ条」を実践する体制を整え、05年に「赤ちゃんにやさしい病院」の認定も受けている。NICU(新生児集中治療室)およびGCU(継続保育室)では、最先端の設備と医療技術を備え、超未熟児をはじめ難治性疾患、外科疾患などあらゆる新生児疾患に対応している。
手術支援ロボットや最新の医療機器を導入
手術は、多くの診療科においてロボット支援手術や腹腔鏡・胸腔鏡などカメラを用いた手術を積極的に行い、体表の傷を少なくし、退院が早くできる低侵襲手術を目指している。
14年2月に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を道東・道北地域ではいち早く導入し、前立腺や腎臓の手術はもちろん、15年には直腸手術や肝臓手術で使用を開始した。
18年12月には国内初の8K内視鏡を導入し、これまでのハイビジョンより16倍鮮明な腹腔鏡を用いた直腸手術や肝臓手術を行い、より確実で安全な手術の施行に寄与している。多軸血管撮影装置を導入したハイブリッド手術室を10年より運用開始。国立大学では初のロボットタイプの血管撮影装置で、手術中に3次元画像機能を駆使したデータの取得・表示も行えるようになっている。16年からはTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)の認定施設となり、患者の身体的負担がより少ない、最先端の手術が可能になった。
北海道の広域性にともなう通院による肉体的・経済的・時間的な問題を解決するため、遠隔医療の推進にも力を入れて1999年に遠隔医療センターを設立し、国内外の施設との医療連携や研究開発を積極的に実施。16年10月から運用している「クラウド型遠隔医療システム」は、19年2月に医師に医療用スマートフォンを配付したことで利便性が上がり、緊急時における関連施設との連絡や必要な画像データのやり取りが容易になった。この技術により遠隔病院にいる大動脈解離や急性大動脈解離など、緊急手術を要する患者を受け入れてから手術を行うまでの時間の短縮が可能となり、この功績に対し東信良教授が19年度北海道科学技術賞を授与されている。
14年2月に手術支援ロボット「ダ・ヴィンチ」を道東・道北地域ではいち早く導入し、前立腺や腎臓の手術はもちろん、15年には直腸手術や肝臓手術で使用を開始した。
18年12月には国内初の8K内視鏡を導入し、これまでのハイビジョンより16倍鮮明な腹腔鏡を用いた直腸手術や肝臓手術を行い、より確実で安全な手術の施行に寄与している。多軸血管撮影装置を導入したハイブリッド手術室を10年より運用開始。国立大学では初のロボットタイプの血管撮影装置で、手術中に3次元画像機能を駆使したデータの取得・表示も行えるようになっている。16年からはTAVI(経カテーテル大動脈弁植え込み術)の認定施設となり、患者の身体的負担がより少ない、最先端の手術が可能になった。
北海道の広域性にともなう通院による肉体的・経済的・時間的な問題を解決するため、遠隔医療の推進にも力を入れて1999年に遠隔医療センターを設立し、国内外の施設との医療連携や研究開発を積極的に実施。16年10月から運用している「クラウド型遠隔医療システム」は、19年2月に医師に医療用スマートフォンを配付したことで利便性が上がり、緊急時における関連施設との連絡や必要な画像データのやり取りが容易になった。この技術により遠隔病院にいる大動脈解離や急性大動脈解離など、緊急手術を要する患者を受け入れてから手術を行うまでの時間の短縮が可能となり、この功績に対し東信良教授が19年度北海道科学技術賞を授与されている。
医師の働き方改革に向けて
患者が安心して医療を受けられるよう、医療の質を落とすことなく、地域医療への貢献を妨げることなく、医師の働き方改革を遂行するために、タスク・シフト/シェアや逆紹介の推進などの取り組みを進めている。
例えば、2022年8月に看護師による特定行為指定研修機関として厚生労働大臣から指定を受け、10月から特定行為研修を開始。看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力および判断力並びに高度かつ専門的な知識および技能の向上を図るための研修で、すでに他院での研修を含めて9人の看護師が修了し、現場で活動しており、タスク・シフトにつながっている。
また、かかりつけ医となる地域の医療機関との連携を深め、大学病院が本来の機能を発揮できるよう、治療を終えた患者を地域の医療機関につなぐ、逆紹介を進めている。
病院は「患者中心の医療を実践し、地域医療に寄与するとともに、国際的に活躍できる医療人を育成する」という基本理念を掲げている。「病院の理念のもと、患者様にも満足いただき、かつ、職員皆が生き生きと働けるような医療の場を提供できる、そしてそれを持続できるよう、地域の病院とも連携して努力してまいります」(東信良病院長)。
例えば、2022年8月に看護師による特定行為指定研修機関として厚生労働大臣から指定を受け、10月から特定行為研修を開始。看護師が手順書により特定行為を行う場合に特に必要とされる実践的な理解力、思考力および判断力並びに高度かつ専門的な知識および技能の向上を図るための研修で、すでに他院での研修を含めて9人の看護師が修了し、現場で活動しており、タスク・シフトにつながっている。
また、かかりつけ医となる地域の医療機関との連携を深め、大学病院が本来の機能を発揮できるよう、治療を終えた患者を地域の医療機関につなぐ、逆紹介を進めている。
病院は「患者中心の医療を実践し、地域医療に寄与するとともに、国際的に活躍できる医療人を育成する」という基本理念を掲げている。「病院の理念のもと、患者様にも満足いただき、かつ、職員皆が生き生きと働けるような医療の場を提供できる、そしてそれを持続できるよう、地域の病院とも連携して努力してまいります」(東信良病院長)。
- 病院長/東 信良氏
- 1985年旭川医科大学卒業(第7期生)。同病院や道内の病院で研修した後、97年から2年間、米国Yale大学血管外科に留学。帰国後、旭川医科大学外科学講座助教、講師、准教授を経て2012年に外科学講座血管・呼吸・腫瘍病態外科学教授に就任。23年7月に同大学副学長および病院長就任。日本血管外科学会理事長。医学博士